- 切削性Excellent!
- 研削性Excellent!
- 経年変化Good!
超加工性 新冷間ダイス鋼ハードンプレート「MAST TFDf(エフ)」
株式会社 プロテリアル社製。SLD-f研削済み(T=2G)のハードンプレートです。
ハードンプレートから仕上げ加工までの加工工程のコアなる要素にて、画期的なハイパフォーマンスを実現。
- Point1プロテリアル社製SLD-f (SKD11改 快削鋼) ベース
- Point2切削性・研削性でハイエンドパフォーマンスを実現
- Point3経年変化(ワイヤーカット性)や金型用鋼性能も従来鋼とほぼ同等
- Point4新時代に適応したクリーンでサスティナブルなものづくり
欧米標準 AISI D2/DIN1.2379に対応。
熱処理変形が少なく、耐カジリ性・耐摩耗性・経年変化に優れ長寿命化を実現します。
標準在庫品のため、必要な時に必要なだけ即納可!
従来のSLD用途の代替品でも使用可能です。
1切削性評価連続ねじ切り切削性試験
試験条件・評価方法
当社販売商品「TF タップミル(M6)」にて、下穴無しで板厚9.0mm 熱処理済の高硬度プレートにタップねじ切り、補正を掛けつつ、タップ貫通にて適正タップ加工が出来る限界タップ数をカウントしました。 弊社でのテスト加工例です。条件等により異なります。
- マシニングセンタ
- ROBODRILL α-D21LiA5
- 水溶液性切削液
- Castrol Hysol ハイソル X
結果
また、熱処理による変寸リスクも回避することが出来る上に、急な設計変更や納期短縮も可能です。なによりも品質の安定という観点において、ハードンプレートからのブランク工法へシフトするのに、非常に有効な材質であり、優良な解決方法です。
考察
その効果を十分に立証する結果となっており、ネックとなっていた熱処理済ハードンプレートの高速切削を可能にしています。
2研削性評価1パス切込量での3項目評価
試験条件・評価方法
厚み30mm×150mm×150mm(2枚同時加工)×3鋼種
- 加工機
- 岡本工作機械製作所 PSG-64GX
- 砥石
- 一般砥石
(高性能セラミック砥石キュービトロンⅡ #60) - 研削油剤
- ソリュブル
1パスの切込量「5μ」・「8μ」・「10μ」でそれぞれ研削加工を行い、
- ワークの除去率
- 研削焼けなどのトラブルが生じるまでのドレスインターバル
- 砥石軸負荷(研削抵抗)、9A(アンペア)で中止
結果
一般的に、SKD11系の材質は研削にCBN砥石を使用しますが、粒度やサイズなど多くの種類を準備するのにコストがかかります。以下の試験結果は、低コストの一般砥石を使用した加工であり、その中でワーク除去率がほぼ100%近くに達しています(削りたい分だけ削れている状態)。 プレート系やパーツ系加工において、特に数物に対しては非常に有効であり、多品種小ロット対応にも適しています。前述の通り、低コストの一般砥石を揃えるだけで対応可能です。
考察
TFDf・TFD11H・TFD8Hと比較して、1パス切込み量・ドレスインターバル・除去率・砥石負荷(研削抵抗の全ての項目において、TFDfが最も優れています。
特に、ワーク除去率は「97.5%」と極めて高く、加工効率と加工精度の両立が図れるのが特徴です。
通常ダイス鋼系は、CBN砥石を使用しますが、一般砥石での加工が容易となります。
研削所感は、TFS37(SKS3 系ハードンプレート)に近いが、TFDfの方が加工中にワークの表面粗さが悪化するペースが緩やかに感じます。これにより加工時間の短縮・工具の寿命の増加・砥石負荷減による使用電力の減少が見込めます。
3経年変化評価・ワイヤー性試作プレートによる変寸2 週間定点測定
試験条件・評価方法
T13×150×400 の熱処理試作プレートにWEDM 加工にて角穴加工し、2週間の残留オーステナイトによる経年変化推移を定点測定しました。
- 加工機
- FANUC α-c600ia 加工回数:4th カット加工
- 測定器
- ミツトヨリニアハイト600
- 基準平面
- JIS0 級 セラミック定盤 測定室温:20℃
結果
3鋼種ごとに「0日目・14日間の最大値・14日間」の変位を下記の表の通りにまとめました。
考察
金型プレートを想定した400Lサイズの角穴変位においても、残留オーステナイトの減少する2週間の最大変位測定において、TFDfは、良好な値を計測しました。
また、ワイヤーカット性についても粗大な炭化物を減少された鋼であり、ワイヤーカットによる炭化物の脱落等の問題も少なく良好と考えられます。
4耐摩耗性評価ボールオンディスクとスラリー(リングオンディスク) 摩耗試験の2通りによる評価
試験条件・評価方法
- 測定方法
- ボールオンディスク摩耗試験 比摩耗量(質量減少法)
- 試験条件
- Dry、ボール:SUJ2、回転数:400rpm、試験時間:600sec
- 状態
- ドライ、温度:常温、荷重:4kgf
- 測定方法
- スラリー摩耗試験:リングSUS316L、ディスク 各種3鋼種
- 試験条件
- 1kg-50rpm-1min、2kg-50rpm-1min、3kg-50rpm-1min、5kg-50rpm-1min、5kg-100rpm-10min
※上記を3回繰り返し - 状態
- 半Wet(粉体:アルミナ#60(250mg)-10g 水道水:5cc)
結果
ボールオンディスク試験は、ボールとディスクの相性によって様々な結果や優劣が出るため、最終的な使用用途を考慮し、テストを行う可能性があります。今回のボール側でSUJ2を使用した場合、TFDfは他製品と比べ摩耗性は最も良好な結果となりました。加工性と摩耗性が相反するようなイメージがありますが、今回の試験では大きな差はなく、遜色ない結果となりました。
スラリー摩耗試験は、リングと材質の間にアルミナ粉を干渉材として使用した摩耗テストであり、ボールオンディスク試験に比べて異なる傾向が見られます。
前述のテスト結果同様に材質の相性が影響するため、最大値や最小値にばらつきが生じることがありますが、SKD11系という枠組みの中で遜色ない摩耗性を示す結果となりました。
考察
ボールオンディスク摩耗試験では、TFDfはディスクの摩耗も無く、ボールの減りも最小限で良好でした。
しかし、スラリー摩耗試験では逆の結果となり、ボール材質との相性もあるので摩耗性はほぼ遜色ない「ダイス鋼」レベルと考えられます。
5靱性評価曲げ試験(JIS Z 2248 静的試験):靭性の評価の一評価基準として曲げ試験を適用
試験条件・評価方法
T1×20×60のプレートに約150kgfの荷重を掛け、破断するまでの曲げ応力N/mm2の平均(n=3×3回)を算出。
曲げ応力=再大点 応力 N/mm2
σ=3FL/2bh2(F:曲げ荷重、L:支点間、距離、b:試験片幅、h:試験片厚さ)
結果
考察
またメーカーで実施のパンチでの成形評価はSLD-fはSKD11よりも欠けにくく、耐チッピング性は良好な結果が得られています。
6まとめ
TFDfハードンプレートは、熱処理研削済み提供品のため、そのあとの加工プロセスは、切削・研削・放電の主要3本柱であり、これらの特性は過去に類を見ないパフォーマンス性を有します。
一方、金型用鋼としての特性も試験方法等にて若干の優劣あるものの、従来のダイス鋼系と比べると遜色ないものとなっています。
リードタイム短縮のみならず、変寸等の品質の安定を考慮すると、ハードンプレートからのブランク工法は、今後ますます主流となってきます。
TFDfは、これまでネックとなっていたハードンプレートの被削性の問題をクリアしつつ、加工工数低減・加工時間削減・人と設備の有効活用など、これからの時代のものづくりに対応しております。
貴社の対象アイテムで具体的な検討、トライをしてはいかがでしょうか。
まずは少量よりお試しください!
プロテリアルの超加工性 新冷間ダイス鋼SLD-fがハードンプレートのバリエーションに加わりました。
ハードンプレートから仕上げ加工までの加工工程のコアなる要素にて、画期的なハイパフォーマンスを実現します。