TFM1(HPM1)
- プリハードン鋼のため、熱処理不要。(37〜41HRC)
- 被削性が40HRCクラスで最も優れる。
- 大型品でも内外均一の硬さを有し、パーティングの摩擦が少ない。
- 放電加工面の硬化が少ない。
- ドリル加工 Drilling
- 工具 Tool:SKH51 φ10、送り Feed:0.15mm/rev、深さ Depth:30mm(めくら穴 brind hole)、乾式 Dry
TFS37(ACD37)
- SKSの欠点を改善し、SKS3よりも抗折力が優れています。
- 熱処理歪みが小さい。
- 耐摩耗性が良好。
- 被削性が非常に良好。
- (西原式磨耗試験機)
- 荷重:588N、最大圧力:5.93MPa、潤滑油:使用せず、回転速度:上部試料65mm/min 下部試料73mm/min
TFD61(DAC)
- 高温強度に優れる
- 靭性が大きい
- 被削性が良い
- 熱処理歪みが小さい
熱処理特性
熱処理硬さ≤53HRCを確保できる
耐衝撃性
靭性に優れ、割れ欠けに対して有効
高温強度
高温での強度に優れた特性を有する
TFD11L(SLD)・TFD11H(SLD)
- 耐摩耗性が大きい
- 耐摩耗性が大きい
- 熱処理に優れ、空気、真空焼入れが可能で熱処理変寸が小さい
- 靭性が大きい
- 疲労強度が大きい
- TFD11L(SLD):低温戻し 60~62
- TFD11H(SLD):高温戻し 56~59
熱処理特性
高温焼戻し>58HRCを確保できる、低温焼戻し>60HRC
耐摩耗性
耐摩耗性に優れる
- (西原式磨耗試験機)
- 荷重:588N、最大圧力:5.93MPa、潤滑油:使用せず、回転速度:上部試料65mm/min 下部試料73mm/min
疲労強度
繰り返し応力に対しても優れた特性を示す
靭性
不純物元素(P、S、Cu等)が少ないため、SKD11クラスでは得られない粘り強さを有する
TFD8H(SLD8)
- 高温焼戻しで高硬度(62HRC)が得られます。
- 靭性が高い
- 耐摩耗性が良好
- ワイヤー放電加工性が良好
- 焼入れ性が良好で、真空焼入れにも適しています。
高温焼戻しで高硬度(62HRC)が得られます
高温焼戻し(525~550℃)で硬さ62HRCが確保できます。
高温焼戻しにより
- ワイヤー放電加工での歪みが極めて少ない。
- 工具使用中の軟化や焼付が少ない。
- 表面処理時の硬さ低下や変形が少ない。
靭性が高い
化学成分や炭化物の調整により、62HRC以上の高硬度でもSLD(JIS SKD11相当)より高い靭性を有しています。
従って、折損、欠けなどの起こりやすい型への適用が有効です。
耐摩耗性が良好
一次炭化物量が少ないため、摺動摩耗では、SLDより劣ります。
しかし、高い硬さが得られ、かつ靭性が高いので、チッピング摩耗には優れています。
- 大越式摩耗試験
- 相手材:SCM415、摩耗距離:400m、荷重:67N、摩耗速度:0.78m/sec
ワイヤー放電加工性が良好
SLDと同様に、高温焼戻しによって、残留応力および残留オーステナイトが極めて低くなり、ワイヤー放電加工による精密加工が可能です。
焼入れ性が良好で、真空焼入れにも適しています。
SLDと同じ温度で焼入れが可能であり、焼入れ性も大きく、空気焼入れや真空焼入れガス冷却で熱処理できます。
TFM31(HPM31)
- JIS SKD11並みの高い耐摩耗性を有している
- 被削性、研削性がSKD11に比べ、大幅に良好。
- 高硬度で高靭性を有し、欠け、折損に強い。
- 熱処理歪みが小さく、精密型に最適。
- 鏡面仕上性、シボ加工性、放電加工性が極めて良好。
耐摩耗性
耐摩耗性に優れる
- 大越式摩耗試験
- 相手材:SCM415、摩耗距離:400m、荷重:67N、摩耗速度:0.78m/sec
靭性
衝撃に強い
熱処理特性
変寸が少ない
TFM38(HPM38)
- 鏡面仕上性が極めて優れている
- SUS420J2以上の耐食性を有し、クロムメッキ不要。
- 熱処理歪みが極めて小さく、精密型に最適。
- 型保管中の錆の発生がなく型管理が容易。
鏡面仕上性
- 概念図
耐食性
技術的ニーズによる体系
- 精密型(焼入れ鋼)
TFH51(YXM1)
- 靭性が大きい
- 高温耐摩耗性に優れる
耐摩耗性
- 大越式摩耗試験
- 相手材:SCM415、摩耗距離:400m、荷重:67N、摩耗速度:0.78m/sec
抗折力
シャルピー衝撃値
TFP5R(HAP5R)・TF YXR33(YXR33)
- 高靭性、高疲労強度
- 粉末製法により縦、横方向の特性差が小さい
- 焼入性に優れる
代表的高速度工具鋼の諸特性
使用事例
TFH10(HAP10)・TFP40(HAP40)・TFP72(HAP72)
- TFH10(HAP10):高靭性で耐チッピング性抜群
- TFP40(HAP40):硬さ、靭性、耐摩耗性を兼ね備える。
- TFP72(HAP72):最高の耐熱性・耐摩耗性材
- HAPシリーズは粉末冶金法により、組織を均一微細化し、従来にない高合金成分で優れた耐摩耗・靭性を有します。
被研削性が極めて良好です。
研削効率の向上および精度の向上に寄与します。
シャープエッジで鋭い切刃を立てることが可能です。
熱処理変形が小さく、安定しています。
熱処理品(63φ×32)の変形
TFG300(YAG300)
- YAGはどの状態でも容易に研削加工することができます。
YAGに用いられている強化機構は、従来の焼入、焼もどしによる強力鋼の場合とは全く異なり、マルテンサイト基地に微細な金属間化合物を析出させることにより硬化させた独特のものです。
特性
- SKD11のシャルピー値は10Rシャルピー値
高温硬さ、高温機械的性質
第1図にYAG300とSKD61の高温硬さ、第2図にYAG300の高温機械的性質を示します。
YAG300は熱間工具鋼に劣らない硬さ、強さを有していることが分かります。